税理士監修┃NPO法人の設立方法や流れは?メリット・デメリットなどと併せて解説

2024年04月26日

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※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。

この記事では、税理士監修のもと、NPO法人の設立方法や流れを、設立の具体的な方法や、必要な書類などを解説いたします。またNPO法人を設立するメリット・デメリットや、各種条件や助成金に関する情報など、網羅的にご紹介いたします。

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NPO法人とは?

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NPO法人は、ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動の健全な発展を目的とした制度です。
特定非営利活動促進法として、平成10年12月に施行されました。

法人格があることで、団体に対する信頼性が高まることなどから、毎年増え続け、令和3年10月時点で、全国に1200以上の法人があります。

参考:内閣府資料

NPO法人の活動目的は、以下の20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益に寄与することを目的とするものであるということが特徴です。
 
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.観光の振興を図る活動
5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7.環境の保全を図る活動
8.災害救援活動
9.地域安全活動
10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11.国際協力の活動
12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
14.情報化社会の発展を図る活動
15.科学技術の振興を図る活動
16.経済活動の活性化を図る活動
17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18.消費者の保護を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

参考:内閣府ウェブサイト(特定非営利活動とは)

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NPO法人という形態と選ぶメリットとデメリットとは?

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NPO法人は、その制度上、「市民の自由な社会貢献活動の健全な発展」を目的として行われる事業である必要がありますが、この目的を達成するために、さまざまな優遇措置がとられています。
そこで、メリットとデメリットに区分けして、以下で詳しく説明します。

NPO法人として事業を行うメリットのサマリー

・法人設立費用が、他の法人形態よりも安い
・資本金や出資金が必要ない
・税制面での優遇がある
・法人であることなどから、社会的信用を得やすい
・社会的な課題を解決するための組織であることから、大きな組織とも契約を結びやすくなるケースがある
・補助金や助成金など、サポート制度が豊富
・金融機関からの融資も可能
・法人設立費用が、他の法人形態よりも安い
・資本金や出資金が必要ない

法人を設立する場合、法人の登記(法人登記=商号・名称や所在地、役員の氏名等を公示するための制度)が必要になります。
この登記をする場合、登録免許税という国に収める費用が必要になりますが、NPO法人に関しては、この登録免許税(15万円~6万円前後)が不要となります。
また、定款認証の手数料(3万円~5万円)も不要となります。
さらに、NPO法人には、資本金や出資金もありませんので、ご自身で設立をする場合は、0円で法人を作ることができます。※士業などへ設立を依頼する場合、設立手数料は別途必要になります。

・税制面での優遇がある

税制面でも、NPO法人にはメリットがあります。
例えば、法人税が課税されるのが収益事業のみになったり、法人住民税の減免措置、印紙税などの一部非課税などがあります。

・法人であることなどから、社会的信用を得やすい
・社会的な課題を解決するための組織であることから、大きな組織とも契約を結びやすくなるケースがある
・金融機関からの融資も可能

法人であることは、社会的信用を得るための、ひとつのポイントです。
また、大手企業は、CSR活動などもしているケースが多く、大手企業とのアライアンスに繋がるケースも増えているようです。
金融機関からの借入についても、個人事業主として行うケースと、法人として行うケースでは、信用面で大きな差異がありますので、優位であると言えるでしょう。

・補助金や助成金など、サポート制度が豊富

NPO法人だけが利用できる補助金や助成金があります。
例えば、内閣府は、NPO施策ポータルサイトというウェブページを用意しています。

参考:NPO施策ポータルサイト

NPO法人として事業を行うデメリットのサマリー

・設立するまでに時間がかかる
・業種の制限があり、活動分野が縛られる
・社員が10人以上必要、役員として理事3人以上、監事1人以上がとなる
・正しい情報公開が前提となる
・事務作業が増える
・行政などに対して事業報告をする義務がある

・設立するまでに時間がかかる

NPO法人は、設立するまでに時間がかかります。株式会社や合同会社の場合は資料が揃えば、2~3週間程度で設立することができますが、NPO法人の場合は、提出書類が多いという要因に加え、申請後2か月間の縦覧期間というものがあるため、設立までに、少なくとも3~4ヶ月は必要となる傾向があります。
従って、できるだけ早く設立したい場合には、早めに申請を済ませておく必要があると言えるでしょう。

・業種の制限があり、活動分野が縛られる

NPO法人は、業種や活動分野が制限されます。先ほどと重複しますが、以下のものに限られます。

1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.観光の振興を図る活動
5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7.環境の保全を図る活動
8.災害救援活動
9.地域安全活動
10.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11.国際協力の活動
12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13.子どもの健全育成を図る活動
14.情報化社会の発展を図る活動
15.科学技術の振興を図る活動
16.経済活動の活性化を図る活動
17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18.消費者の保護を図る活動
19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20.前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

参考:内閣府ウェブサイト(特定非営利活動とは)

・社員が10人以上必要、役員として理事3人以上、監事1人以上が必要となる

こちらは、特定非営利活動促進法第12条4項、第15条に定められており、必ず必要となります。
また、運営していく中で、10人の社員数を下回ってしまう場合などには、速やかに改善する必要があります。

ならならば、
特定非営利活動促進法では所轄庁による、
・報告命令や立ち入り検査(法41条)
・改善命令(法42条)
・認証の取消(法43条)
が定められているからです。

・正しい情報公開が前提となる
・事務作業が増える
・行政などに対して事業報告をする義務がある

NPO法人は、自らに関する情報をできるだけ公開することによって市民の信頼を得て、市民によって育てられるべきであるとの考えから、情報公開制度が定められています。

開示が必要になる文書の対象は次の9つです。

<事業報告書等>
①前事業年度の事業報告書
②財産目録
③貸借対照表
④収支計算書

<役員名簿等>
⑤役員名簿
⑥社員のうち十人以上の者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)及び住所又は居所を記載した書面

<定款等>
⑦定款
⑧定款の認証に関する書類の写し
⑨定款の登記に関する書類の写し

また、事務所に事業報告書等を備え置き、利害関係人から閲覧の要求があれば、過去3年間に提出したものについて閲覧させなければなりません。

NPO法人を設立するための費用はいくらかかる?人数などの条件はある?

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費用について

上述の内容と重複しますが、ご自身で法人の設立手続きをする場合は費用はかかりません。
これは、法人登記をする場合の登録免許税が不要であること、定款認証手数料も不要であることが理由です。
※士業などへ設立を依頼する場合、設立手数料は別途必要になります。

人数などの条件

こちらも上述の内容と重複しますが、社員10人以上、役員として理事3人以上、監事1人以上が必要となり、設立後にこの条件を満たしていない場合は、報告命令や立ち入り検査(法41条)、改善命令(法42条)、認証の取消(法43条)の対象となる可能性があります。

NPO法人を設立するための流れや期間は、どれくらい必要?

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NPO法人の設立認証申請手続きの流れ

NPO法人設立の流れは、大阪市ウェブサイトがわかりやすくまとめていますので、その内容を一般化してご紹介いたします。

1 設立構想

NPO法人の設立者(発起人)が集まり次のような事項について検討し決定します。
・10人以上の社員の確保
・設立趣旨書の作成
・定款の起草
・団体理念、目的、事業範囲・内容の検討
・総会・理事会、事務局等組織案の検討
・役員案(親族の制限、欠格事由などの確認)の検討
・事業計画・予算案の作成

2 各種書類の準備

以下のような書類を準備します。
・定款
・設立趣旨書
・事業計画書
・活動予算書

3 設立総会

設立総会では、設立当初の役員の選任、設立認証申請に必要な書類の承認、申請手続きの委任などを行います。

4 設立認証申請

所轄官庁へ申請書類を提出します。

5 公表・縦覧

所轄庁のウェブサイトなどで申請があった旨を公表し、所轄庁において2週間縦覧に供します。

6 認証・不認証の決定

設立の手続き、申請書・定款の内容が法令の規定に適合しており、特定非営利活動促進法の定める法人の要件を満たしているかどうかを審査した結果、申請書を受理した日から2か月と2週間以内(縦覧期間を含みます。)に、認証又は不認証の決定を行います。

7 設立登記

認証書を受け取った日から2週間以内に、法務局で設立の登記を行う必要があります。
※認証があった日から6か月を経過しても登記をしていないときは、設立の認証が取り消されることがあります。

登記された日=設立日となります。

8 NPO法人の運営

参考:大阪市NPO法人の設立認証申請の窓口、手続きの流れ

NPO法人設立までに必要な期間は?

少なくとも3~4か月必要と考えておく必要があります。
具体的には、申請書類の作成期間は2週間~1ヶ月、縦覧期間2ヶ月、審査期間は1ヶ月半~2ヶ月程度、その後、法務局での設立登記書類の処理期間が7日程度必要となります。

NPO法人は高校生や大学生など学生でも設立できる?難しい?

NPO法人の理事や社員について、未成年者に関する制限はありません。従って、成年している学生はもちろん、未成年の学生でも設立することができます。
ただし、未成年者が社員や理事になる場合には、法定代理人(親権者等)の同意を必要とします。

また実際に学生が立ち上げているNPO法人も存在します。
・出張型の作業療法事業を行うNPO法人
・シングルマザー家庭など、子どもを遊びに連れて行きづらい家庭の代わりに子ども達を遊びに連れて行く活動を行うNPO法人などがあります。

NPO法人を設立する際に利用できる助成金などはある?

NPO法人を設立する際にも利用できる助成金もあります。

助成金などは、東京都内でいえば、東京都、東京都内の区や市、東京都社会福祉協議会、公益財団法人などが提供しています。

また、街づくりに関する助成金でいえば、一般財団法人ハウジングアンドコミュニティ財団では、住まいづくり・まちづくり・地域づくりのNPO・市民活動助成金・支援プログラムを行っており、年度を単位とした活動を支援するもので、1年間の活動に助成を行っています。

参考:一般財団法人ハウジングアンドコミュニティ財団ウェブサイト

公的機関や、財団法人、企業が運営する財団など、さまざまなところが、さまざまな助成金を提供していますので、自社の事業内容にあった助成金を探してみると良いでしょう。

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東京都内におけるNPO法人を設立する場合の申請先は?

事務所の場所がどこになるかで、変わります。

事務所がすべて都内にある場合

東京都生活文化スポーツ局都民生活部管理法人課

複数の都道府県に事務所がある場合

主たる事務所がある都道府県となります。

事務所が政令指定都市の区域内のみにある場合

当該政令指定都市となります。

事務所が全て都内にある場合の申請先や問合せ先は以下となります。

東京都生活文化局 都民生活部 管理法人課 NPO法人担当
電話番号:03-5388-3095(受付時間:開庁日9:00~17:45)
〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁第一本庁舎19階南側

参考:東京都生活文化スポーツ局 NPO法人ポータルサイト

まとめ┃NPO法人の設立場所としてもピッタリな長谷工コミュニティが運営するビステーション

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いかがでしたでしょうか?
NPO法人を設立するメリットとデメリットから助成金に関する情報までご紹介させていただきました。
事業内容の制限はあるものの「市民の自由な社会貢献活動の健全な発展」をサポートするという側面があることから、さまざまなメリットがあることがわかります。

もしも、あなたのやりたいことが、法第2条において定められている活動分野に合致する場合は、NPO法人の設立を検討してみてもよいでしょう。
ただし、設立までに時間がかかる点には、注意が必要です。

 

 

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この記事の執筆者

unite株式会社代表取締役 角田 行紀

起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。

https://www.unitenco.com/
https://cqree-holdings.jp/service/

この記事の監修者

若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市

中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ

手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。

モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
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