【税理士監修】独立開業する際におススメな業種や資格と、独立開業する際の3つの注意点と具体的な対策

2025年01月28日

※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。

独立開業を考えているけれど、不安という方や、どのような業種で独立をすればいいのか悩んでしまうという方は少なくありません。そこで、おススメな業種や資格をご紹介させていただくとともに、独立開業をする際に注意しておきたい3つのことと、それらの具体的な対策方法についてご紹介させていただきます。

独立開業とは?起業とは違う?サラリーマンが独立開業する、具体的な方法とは?

かつてスタンダードだった終身雇用的な働き方から、労働環境の変化や、人口減少、働き方改革などの法規制の働き方に関する価値観の変化など、さまざまな要因から、最近では、独立開業を検討する人も増えてきています。

独立開業とは?起業との違いは?

「開業」とは、辞書によれば、「新しく事業や商売を始めること。」(デジタル大辞泉)とされています。 一方、「独立開業」は、明確な定義はなく、一般的なニュアンスとしては、これまでに勤めていた企業を退職し新たに事業を開くケースと、既存の組織で勤務を継続しつつ、副業として開業をするケースの両方が内包されています。
また、「起業」も、同様に辞書によれば、「新しく事業を始めること。」(デジタル大辞泉)とされており、開業と起業は、同じ意味のものと考えて良いでしょう。 ニュアンス的には、ベンチャー起業といった言葉もあることから、起業については、これまでになかった事業を作るというニュアンスが含まれるケースもあるようです。

サラリーマンが独立開業する、具体的な方法とは?

具体的な方法としては、以下のようなケースが考えられます。
・勤務先での仕事を続けながら、副業として、開業する
・勤務先の下請事業者となって、開業する
・勤務先を退職して、開業する

サラリーマンが独立開業する、具体的な手順とは?

具体的な手順は、さまざまな方法がありますが、例としては、以下のようなものになります。

1.どのようなビジネスを行うかを決める
2.市場ニーズや、競合調査を行う
3.マーケティングプランを作成する
4.事業計画を作成する
5.(必要に応じ)資金調達を行う
6.(必要に応じ)法人を設立する

1~4については、どのくらい粒度高く設計できるか?がポイントになります。
特に、勤務先を完全に退職して独立開業する場合には、マーケットに、どのような競合が、どのくらいいて、競合にはどのように勝つのか?等をしっかりプランニングする必要があります。
例えば、マーケティングプランや販売計画については、見込顧客などに、開業前に事前にヒアリングなどを実施すると、よりリアルな販売計画を立てることができるので、おススメです。

また、業種によっては、そもそもライセンスが必要なケースもありますので、事前によく調べておく必要があると言えるでしょう。

独立開業した際の個人事業主の作業場所や法人の登記場所としても利用可能!!
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで起業時にもピッタリのシェアオフィス┃長谷工コミュニティ

独立開業に向いている業種は?どのような仕事内容がある?

次に、独立開業に向く業種や、どのような職種があるのかを解説します。

まず、独立開業に向く業種としては、具体的なものがあるというよりは、次のような特長があるものが向いていると言えるでしょう。(必ず必要というわけではありません)

独立開業に向く職種の条件の例
・これまでに、その事業を行った経験があること
・初期投資が少ないこと
・ニーズがあり、今後もマーケットの拡大が見込まれているもの
・(できれば)在庫が不要なこと
・(できれば)既に人脈や販路があること
・(できれば)参入障壁の高いもの

独立開業可能な具体的な業種・仕事内容の例としては、以下のようなものがあります。

インターネット関連ビジネス

・WEBサイト制作
・WEBデザイン
・WEBライター
・ネットショップ運営
・アフィリエイト
・動画制作
・ITエンジニア
・Webライター
・イラストレーター
など

インターネットに関連するビジネスは在庫が不要であることが大きな特徴です。 従って、小資本で始めることができますし、ニーズも必ずあるケースが多い業種です。 一方、スキルを習得することと、習得しているスキルを証明する(営業相手に理解させる)ことには、ハードルがあります。

士業

・弁護士
・公認会計士
・税理士
・司法書士
・行政書士
・社会保険労務士
・中小企業診断士
など

士業も、在庫が不要で小資本で開始することができます。
また、国家資格であり、資格を取得していることが明示できることも大きな強みです。平均単価も比較的高くなることから収入を得やすい業種であるといえます。
ただし、資格の取得には、通常、数年を要するケースが多く、難易度が高く参入障壁の高い業種であると言えるでしょう。

コンサルタント業

・経営コンサルティング
・ITコンサルティング
・マーケティングコンサルティング
・営業コンサルティング
・キャリアコンサルティング
など

コンサルティング関連業務も、在庫が不要で小資本で開始することができます。
また、高度なスキルがある場合や、資格を活かした業務を行う場合、利益率も高くなります。
売上に直結するコンサルティング、必要性の高い業務のコンサルティングなどは、受注もしやすい傾向にあります。

小売業

・販売
・卸売br> など

小売業は、店舗と在庫を抱える必要がある業種です。リアルな店舗と併せて、インターネット上のショップを運営するケースも多くあります。
小売業を開業する場合、事前に、事業計画、マーケティング計画をしっかりと立てる必要があります。

サービス業

・美容室
・サロンbr> ・パーソナルトレーニングbr> ・ハウスクリーニングbr> ・家事代行br> など

サービス業は、これまでに習得したスキルを活かして事業を行います。
店舗がなくても、出張型とすることで、サービスを提供することも可能です。
ただし、基本的には、時間を販売するという業種になるため、売上を大きくするためには、店舗を構えたり、人を採用する必要があります。

教育関連業

・塾
・料理教室
・パソコン教室
・英会話教室
・音楽教室
・各種オンライン講師
など

教育関連業は、これまでに習得したスキルを活かして、必要のある相手をスキルアップさせる事業です。
店舗を出さずに、オンラインで提供するという方法や出張型とする方法も可能です。
一対一で教えるモデルと一対多数で教えるモデルの両方がありますが、基本的には、一対多数の方が売上を上げやすいと言えるでしょう。
また、売上を大きくするためには、店舗を構えたり、人を採用する必要があります。

クリエイティブ

・ハンドメイド作家
・作家
・ライター
・イラストレーター
・デザイン
など

クリエイティブ職は、下請けとして業務を行うケースと、自ら営業を行うケースの両方のケースが考えられます。
ニーズのあるところには、定期的にニーズが発生しますので、信用を勝ち得ると継続的な取引になるケースも多い業種と言えるでしょう。

建設業

・とび
・大工
・塗装
・解体
など

建設業で独立開業する場合は、自己資本として500万円以上のお金がある必要性などがありますので、まずは、その点に注意が必要です。
また、現在は、業界的に、大きな人手不足となっているため、人材採用についても、事前に考えておくと良いでしょう。

飲食業

・カフェ
・レストラン
・テイクアウト店
など

飲食店は、気軽にはじめるケースが多いですが、初期投資が必要で、かつ、継続的に集客をする必要のある比較的難易度の高いビジネスです。 また、店舗を作る場合、立地も非常に重要になります。 事前に、しっかりとした事業計画を立てて望む必要があると言えるでしょう。

独立開業した際の個人事業主の作業場所や法人の登記場所としても利用可能!!
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで起業時にもピッタリのシェアオフィス┃長谷工コミュニティ

独立開業する際に、おススメな資格は?

資格を活かしたビジネスは、参入障壁が高く、他のビジネスよりも有利となります。また、名刺などに資格を保有していることを明記することで、一定以上のスキルがあることを明示することもできます。
資格には、大きくわけると、国家資格と民間資格の2つの種類があります。
国家資格は、法律に基づき、国が個人の知識やスキルを証明してくれるものです。一方で、民間資格は、企業や団体が個人の知識やスキルを証明するものです。

おススメな資格は、一般的には、国家資格の方がおススメです。理由はシンプルで国の制度として存在していることからもわかるとおり、必要性が担保されているからです。
収益性の面でいえば、結局のところ、需要と供給のバランスであるため、資格取得の難易度が高い方が、収益をあげやすいという傾向があります。
たとえば、弁護士や公認会計士、医師といった、誰もが知っているけれど、取得が難しい国家資格は収益性も高いです。
また、民間資格でも、収益性の高い資格は存在します。例えば、アクチュアリーという、数学のプロといった資格がありますが、保険会社、信託銀行、コンサルティングファームといった企業で活躍しており、平均年収も高い資格と言えます。

どの資格を取得したいかを判断する際には、
・自分がやりたい仕事か?
・資格取得の難易度はどれくらいか?(費用/期間/難しさ)
・どれくらい稼ぐことができるのか?
などといった複数の軸から検討すると良いでしょう。

国家資格の例

国家資格は、さまざまな業界で、さまざまな資格がありますが、一例をあげると以下のような資格があります。

・弁護士
・公認会計士
・税理士
・司法書士
・行政書士
・社会保険労務士
・中小企業診断士
・宅建士
・弁理士
・気象予報士
・労働安全コンサルタント
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・マンション管理士
・不動産鑑定士
・潜水士
・ITパスポート
・技術士
・建築士
・測量士
・美容師
・理容師
・医師
・看護師
・保健師
・助産師
・栄養士
・歯科医師
・薬剤師
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師
など

国家資格は、国が認めているものですので、広く認知されており、独立開業とも、とても相性の良いものです。

民間資格の例

民間資格としては、
・ネイリスト
・インテリアコーディネーター
・カウンセラー
など

民間資格にも、さまざまなものがあります。よく聞くものから、なかなか聞かない資格までありますので、自分がやりたい業種について資格を調べてみてもいいでしょう。

国家資格も、民間資格も、これから取得しようと考える場合は、自分の特性とあったものなのか?将来、その仕事で、どれくらいの収入を得ることができるのかを、事前によく検討してから取得すると良いでしょう。

ウェブサイトや本などには、〇〇の資格を習得すると、年収〇〇万円といった情報が散見されますが、やや過剰な場合もあり、それを鵜呑みにするのは、よくありません。
例えば、「〇〇(資格名) 採用」といった言葉で検索をすると、どのくらいの数の求人があり、どのくらいの給料で募集されているのかが、すぐにわかりますので、その資格を取得することで、独立開業がしやすいか否かを判断する材料が入手できます。
一度、自分でも調べてから、どの資格を取得するのかを判断すると良いでしょう。

独立開業した際の個人事業主の作業場所や法人の登記場所としても利用可能!!
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで起業時にもピッタリのシェアオフィス┃長谷工コミュニティ

独立開業する際に、気を付けておきたい3つの注意点とリスクヘッジの具体的な対策とは?

新規開業実態調査2024┃日本政策金融公庫より

日本政策金融公庫が実施している新規開業実態調査2024によれば、独立開業後に困ることのTOP3は、
①売上の確保
②資金繰り
③財務・税務・法務知識
となっています。

逆に言えば、事前に、この3つを独立開業する前から、しっかりと対策を立てておくことが必要です。

まず、①売上の確保のためにやっておきたいことは、次の5つです。

独立後の売上を確保するためにやっておきたい5つのこと
・自分が行う予定のビジネスについて、成功確率をヒアリングする
・似た事業をしている先行企業を探して、マーケティング施策の真似られる点は真似ていく
・具体的なマーケティングプランを考えておく
・関係しそうな人脈を構築しておく
・ヒアリングや検討したマーケティングプランを基に販売計画を書く

自分が行う予定のビジネスについて、成功確率をヒアリングする

自分が想定するニーズと、実際の消費者のニーズには乖離が出るケースがあります。これは、どのような人にも生じます。このギャップを埋め、成功確率を高くするには、人に聞きまくるという方法があります。
例えば、ラーメン屋を開業したいと考えている場合、自分で作り、自分は美味しいと思っている、そのラーメンは、本当に人が食べても美味しいのか?どのような立地であっても食べに来てくれるのか?をヒアリングするといった形です。
ヒアリングする人数は、数十人、できれば、数百人にヒアリングできるといいですし、知人だけではなく、知人のご友人や街頭インタビューなども活用し、バイアスがかからない方にヒアリングをしてもいいでしょう。

似た事業をしている先行企業を探して、マーケティング施策の真似られる点は真似ていく

自分のやりたいことと似た事業をやっている先行企業を探して、法律に反しないかたちで真似られる点は、真似ていきましょう。なぜならば、その場合、市場があることと、一定以上の成功確率のある事業であるということが実証されているからです。

また、ビジネスモデルが、似ていない事業でも、マーケティング方法を真似ることはできます。
例えば、有名な事例だと、髭剃りのジレットの事例があります。ジレットは、本体を手に取りやすい価格に設定し、替え刃で利益をあげるというビジネスモデルを創出し、成功を納めています。
他にも、フリーミアム(フリー(無料)+プレミアム(有料))を組み合わせたマーケティングモデルも、現在はかなり浸透してきています。
新規のリードを、どのように獲得するか、獲得したリードを、どのように顧客化するか、粘着性の高いビジネスモデルを構築していくことを検討しておくと良いでしょう。

具体的なマーケティングプランを考えておく

起業直後に一番重要なことは集客です。しかし、多くの方が、ふわっとしたイメージで始めてしまっています。 自社の事業は、誰の何を、いくらで解決できるビジネスなのか?ペルソナ(想定顧客像)をしっかり立てて、その人がどこにいるのか?どのようにすれば、その人たちに、自社の情報が伝わるのか?をしっかりイメージしておきましょう。

例えば、飲食店であれば、店舗の立地は、マーケティングプランのうち、大きな要素を占めます。どのような人たちが住むエリアなのか?集まるエリアなのか?をよく検討すべきでしょう。
また、チラシの配布などは、店舗から半径どのくらいに散布すべきか?また、どのようなウェブサイトを使うのか?など、考えるべきことは無数にあります。

関係しそうな人脈を構築しておく

人脈を構築しておくことは事業を行ううえで、非常に重要です。多くの経営者会などが存在していることは、この証左です。
人の紹介でお会いしたことをキッカケに、さまざまなビジネスに発展することは少なくありません。
会社に関係のない勉強会や交流会などは、インターネットで探すと、意外とたくさんあります。参加者がどのようなものなのかは、それぞれに違うと思いますが、ご自身にあったものを見つけると良いでしょう。また、商工会議所などでも起業に関する勉強会を開催していますので、できる限り参加して、人脈を作っておくと良いでしょう。

ヒアリングや検討したマーケティングプランを基に販売計画を書く

ここまでで、さまざまな準備をしてきました。次は、これらの情報を基に、いくらの売上をあげられるのかを販売計画に落とし込みましょう。

例えば、チラシを撒いた場合、0.01%~0.3%程度の反響率があるとされています。(各種施策の反響率の目安はインターネットで調べることも可能です。)
仮に、0.3%の反響があるとした場合、10,000枚のチラシを配布すると、30件ほどの問合せがあるということになります。
この30件のうち、10%が成約すると仮定した場合、3人が顧客になります。 このように、マーケティング方法ごとに、いくらの広告費をかけると、いくらの売上になるのかを試算して、販売計画を作るのです。

なお、実際に事業を開始した場合、各々の施策のリアルな反響率や成約率が明らかになりますので、これらの情報を基に、販売計画を見直すことも重要です。

次に、②資金繰りについての事前対策としては、以下の方法が考えられます。

資金繰りの問題は、売上とも関連しますが、初期段階においては、手元に、どれくらいの余剰資金を持てるかという問題になります。
従って、事業を開始する際などに、日本政策金融公庫や銀行、信金などから借入をする際は、しっかりと販売計画を立てて、多めに資金調達をしておくということが重要です。
また、政策金融公庫などと併せて、制度融資(保証協会の保証付きの融資)などを検討することで、資金調達の幅が広くなる可能性もあります。

さらに、ある程度、事業が軌道にのった後は、すぐに必要がない場合でも、金融機関から借入をしておくという方法も検討しておくと良いでしょう。経営の神様といわれる松下幸之助さんは、「ダム経営」という考え方を示しています。資金に余裕があれば、コロナ禍のような想定外の事態が発生した場合でも、選択できる対応策に幅が広がります。

③財務・税務・法務知識としては、次のような方法が考えられます。

方法としては、大きくわけて2つです。
一つは、自分で学ぶ方法です。学び方としては、書籍などを参考にする方法や先輩経営者に学ぶ方法があります。

二つ目は、各々の専門家に相談・依頼しながら学ぶ方法です。例えば、財務や税務は税理士に、法務は弁護士に相談するという方法です。

経営をしていると、売上をあげることに目が行きがちですが、財務・税務や法務の知識も必要不可欠です。一方で、独立開業したばかりのときは、財務・税務や法務の知識を習得する時間をとれないというケースも少なくありません。このような場合は、専門家に相談・依頼してしまった方がいいと言えるでしょう。

どの士業や専門家に相談したらいいかわからないという場合は、無料紹介などを利用してみると良いでしょう。

独立開業した際の個人事業主の作業場所や法人の登記場所としても利用可能!!
新橋・赤坂・新横浜┃駅チカで起業時にもピッタリのシェアオフィス┃長谷工コミュニティ

独立開業する際に、活用できる補助金や助成金は?

独立開業をする際に活用できる補助金や助成金は、地域によって、さまざまなものがあります。

例えば、東京都内で創業する場合、東京都中小企業振興公社が実施する創業助成金が利用できる可能性があります。
この創業助成金は、都内で創業を予定されている方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす場合に利用できるケースがあるものです。

助成限度額:上限額400万円 下限額100万円
助成率:助成対象と認められる経費の2/3以内
助成対象経費:賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、委託費(市場調査・分析費)
助成対象期間:交付決定日から6か月以上2年以下

金額的にも大きいので、ぜひ、チャレンジしてみてください。

詳細:東京都創業NETWEBサイト

また、これ以外にも、さまざまな自治体で、独立開業を支援するための補助金や助成金などの取組をしています。

独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業とその支援者、創業予定者とその支援者のためのポータルサイト「J-Net21」には、都道府県別に、創業者向け補助金・給付金情報を掲載されていますので、独立開業する地域で活用できる補助金や助成金を探してみると良いでしょう。

創業者向け補助金・給付金(都道府県別)┃J-Net21 独立行政法人中小企業基盤整備機構

独立開業するための資金は、どれくらい必要?開業資金ゼロでも独立できる?

独立開業のために必要な資金は、業種や業態によって異なります。
店舗や在庫が必要なビジネスモデルの場合、必要な開業資金は大きくなりますし、逆に、店舗や在庫が不要なビジネスモデルの場合、必要な開業資金は少額で済みます。

具体的な数値としては、先ほどもご紹介した、日本政策金融公庫が調査しまとめている新規開業実態調査2024が参考になります。

新規開業実態調査2024┃日本政策金融公庫より

2024年のデータでは、開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円となっています。
また、開業費用の分布は以下のとおりです。

新規開業実態調査2024┃日本政策金融公庫より

・「250万円未満」(20.1%)
・「250万~500万円未満」(21.0%)
・「500万~1,000万円未満」(30.7%)
・「1000万~2,000万円未満」(18.8%)
・「2,000万円以上」(9.4%)

さらに、資金調達の経路は次のようになっています。

新規開業実態調査2024┃日本政策金融公庫より

・「金融機関等からの借り入れ」が平均780万円
・「自己資金」が平均293万円
・「親族(配偶者・親・兄弟・親族)」が平均54万円
・「友人・知人」が平均36万円

これらのデータを踏まえると、自己資金として300万円前後の資金を作り、800万円前後を借入するというのが最も一般的であると言えます。

一方で、開業資金がゼロ円でも、独立開業は可能です。
在庫や店舗が不要なIT関連(エンジニア、デザイナー、ライター、イラストレーター等)は、その筆頭であると言えるでしょう。
ただし、先ほどご紹介したとおり、開業後の悩みのTOP2は、①売上の確保と②資金繰りとなっており、開業資金がゼロ円の場合、事業継続が難しくなってしまう可能性が考えられますので、あまりおススメできません。

この場合は、毎月の生活費に、いくらかかり、具体的に、いくらの収入を得られる可能性があるのかを事前にしっかりと試算をしておいた方がいいでしょう。

また、どうしても、自己資金がないけれど独立開業したい場合には、「親族(配偶者・親・兄弟・親族)」や「友人・知人」から借入を行い、その資金を活用して、金融機関から借入を行うという方法なども考えられます。

このあたりは、資金調達をサポートする税理士などもおりますので、専門家に相談してみた方がいいと言えるでしょう。

まとめ┃独立開業する際におススメな業種や資格と、独立開業する際の3つの注意点と対策

いかがでしたでしょうか?独立開業をする際におススメな業種の特長と具体案、おススメな資格をご紹介させていただくとともに、独立開業をする際に注意しておきたい3つのことと、3つのリスクに対する具体的な対策方法についてご紹介させていただきました。

思っていたよりも複雑に考えなければならならないと感じた方もいらっしゃるかと思いますが、課題は、いかに事前に潰せるかがポイントです。

特に、お金の問題は、実際に、課題が表面化してしまった場合、既に手遅れという事態になりかねませんので、事前にしっかりと対策をとっておいた方が良いと言えるでしょう。

関連コラム

この記事の執筆者

unite株式会社/株式会社Brand Communication/株式会社Ageless 代表取締役 角田 行紀

起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。

https://www.unitenco.com/
https://cqree-holdings.jp/service/

この記事の監修者

若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市

中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ

手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。

モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
https://www.financial-office.jp/