【弁理士監修】会社名(商号)の決め方は?守るべきルールと、具体的な会社名のアイディア発想法
2024年08月06日
※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。
会社名はビジネスの顔となる重要な要素です。本記事では、会社名を決める際に守るべき法律やルール、注意点を解説します。
また、会社名に悩んでいる方のために、アイディアを生み出すための具体的な方法を紹介します。
あなたの会社にぴったりの会社名をつけるためのヒントをご提供します。
会社名(商号)とは?
会社名とは、法人の名称です。法人の場合、商号を意味します。
会社名(商号)には、ひらがな・カタカナ・漢字の他に、ローマ字(大文字・小文字),アラビヤ数字,「&」,「,」(コンマ)などの符号も使うことができます。(詳細:商業登記規則50条)
一方で、商業登記規則などにより、各種の制限がなされています。
※制限の詳細は後述します。
また、似たものとして、個人事業主がつける屋号があります。屋号は個人事業主が事業を行う際につける名称があります。
こちらも、紛らわしい屋号をつけることはできないなどの制限がありますが、会社名(商号)と比較すると、比較的自由度が高いと言えるでしょう。
会社名(商号)の決め方┃守らなければならないルールとは?
会社名(商号)を決める際には、会社法や商法、民法、商業登記法などに従い、守らなければならないルールがあります。
以下にご紹介します。
・正しい会社の種類(株式会社・合同会社など)を明示しなければならない
・登記できる文字を使わなければならない
・見た人を誤認されるおそれのある文字・名称は使ってはならない
・公序良俗に反する会社名(商号)は使ってはならない
・同一所在地での同一商号は禁止
以下で、解説します。
正しい会社の種類(株式会社・合同会社など)を明示しなければならない
例えば、株式会社なのに、○○合同会社という会社名(商号)をつけた場合、紛らわしく相手も困ってしまいますので、このような会社名(商号)をつけることは禁止されています。
会社名(商号)は、登記できる文字を使わなければならない
登記できる文字は、商業登記規則50条により、以下の文字のみと決められています。
・漢字、ひらがな、カタカナ
・ローマ字(大文字、小文字)
・アラビア数字(0、1、2、3、4、5など)
・符号
「&」(アンパサンド)
「’」(アポストロフィー)
「,」(コンマ)
「‐」(ハイフン)
「.」(ピリオド)
「・」(中点)
このあたりの詳細については、以下の法務省のウェブサイトが参考になります。
参考:法務省ウェブサイト
見た人を誤認されるおそれのある文字・名称は使ってはならない
相手を誤認させる可能性のある会社名(商号)は禁止されています。
例えば、以下のような会社名(商号)は禁止とされています。
・株式会社ではなく、個人事業主なのに、〇〇株式会社という会社名をつけている
・有名で大きな会社の会社名を、なんの関わりもないのに勝手につけている
・相手を騙す目的などで、他の会社の会社名と間違われるような会社名をつける
なお、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した場合には、100万円以下の過料に課せられる可能性もありますので、絶対にやめましょう。(会社法6条、7条、8条、978条)
公序良俗に反する会社名(商号)は使ってはならない
公序良俗に反する会社名(商号)も禁止です。
例えば、以下のような会社名(商号)は禁止です。
・詐欺、窃盗、暴行など犯罪を連想させる会社名(商号)
・差別的な会社名(商号)
・わいせつな会社名(商号)
・反社会的勢力を連想させる会社名(商号)
・公の機関や団体を模倣した会社名(商号)
同一所在地での同一商号は禁止
同じ住所に同じ会社名(商号)の会社を登記することはできません。
これを認めると、混乱が生じるためです。(商業登記法第27条)
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会社名(商号)の決め方┃会社名を検討する際に抑えておきたい6つのポイント
会社名(商号)を決める際にいくつか抑えておきたいポイントがあります。
それが、以下の6点です。
・理念やビジョン、サービスとの連動
・外国語での意味や発音のケア
・覚えやすさ、言いやすさ、発音のしやすさ
・視覚的な印象
・ドメインの取得可否
・検索のされやすさ
以下に、解説します。
理念やビジョン、サービスとの連動
会社名(商号)は、会社の顔となるものです。自社の理念やビジョン、サービスと連動させることによって、クライアントにも覚えてもらいやすくなります。
サービス名についても、同様の視点から検討すると良いでしょう。
実際に、会社名と、サービス名が違っていた企業が、サービス名に統一するケースもあります。
外国語での意味や発音のケア
国内だけで事業を行う場合であっても、ある程度、海外での意味内容等を確認しておいた方が良いでしょう。同音で、ネガティブな意味合いになってしまう可能性などもありますので、主要な言語は確認しておいた方がよいでしょう。
覚えやすさ、言いやすさ、発音のしやすさ
パッと覚えてもらえるかといったことは、重要な要素です。わかりづらい会社名の場合、何度も言い直す必要が出てきます。
代表者1人の場合、我慢すれば済む話かもしれませんが、社員を雇用した場合は、その社員のことも考えておく必要があります。
また、社員は、日本人のみでなく、外国人になる可能性もあります。
視覚的な印象
会社名はロゴなどにもしていくケースが多いと思います。ロゴになったときに、どのようになるのかもケアしておくと良いでしょう。
ドメインの取得可否
多くの場合、事業を行う場合、ウェブサイトを作ると思います。その際に「〇〇.co.jp」などでドメインを取ることになりますが、既に競合企業にとられてしまっているというケースもあります。
事業名を決める際は、事前に確認しておくと良いでしょう。
検索のされやすさ
マーケティングの観点からは、検索されやすい名前であることも重要です。
会社名(商号)が、検索されやすいということは、その分、マーケティングコストが安くなるということです。必要に応じて、この点も検討すると良いでしょう。
もちろん、事業やサービス名を別にしてしまうという方法もあります。
会社名(商号)の決め方┃会社名を考えるのに、参考になるサイトはある?
会社名(商号)を考える場合、いくつかのパターンが考えられます。
・英語やドイツ語、フランス語など、外国語を活用するパターン
・日本語をカタカナ表記にするパターン
・2つの単語を組み合わせるパターン
・もともとある言葉を使って造語を作るパターン
・英語表記の頭文字を使うパターン
などが考えられます。
こちらのサイトでは、上記のようなパターン別に、具体例がたくさん記載されているので、参考になるかもしれません。
参考:社名や屋号、商品名のネーミングアイデアの発想方法を231例で解説
会社名(商号)の決め方┃会社名を考えるのに、生成AIは活用できる?リスクは?
会社名をつける際に、生成AIを活用するという方法もあります。
生成AIを活用することで、自分では思いつかなかったようなアイデアを得られる可能性もあります。
単純に、「会社名を考えて」と生成AIに指示を出しても、考える軸がないと具体的なものが出てきづらいので、以下のような検討の軸を与えて質問をしてみると良いでしょう。
例)
・会社の事業内容
・会社の理念
・サービスイメージ
・ターゲット顧客
・利用する言語
上記のような指示を一つ、または複数の条件下で考えさせてみると良いでしょう。
ただし、生成AIを使って会社名を考えさせた場合、いくつかの注意点がありますので、これらについては、理解したうえで、対策を講じる方法があります。
・他社の商標権の侵害可能性
・独創性の欠如
・文化的な背景の適合性欠如
特に、気をつけねばならないのは、他社の商標権を侵害してしまう可能性です。
この点については、生成AIを活用した場合に限りませんが、しっかりと確認しておく必要があります。
※この点は、大切なポイントですので、詳細を後述します。
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会社名(商号)の決め方┃海外展開も考えるなら英語にした場合も考える
日本語のイメージだけで、会社名(商号)をつけてしまうと、海外では少し違ったニュアンスになってしまう可能性があります。
例えば、
「テンション」という言葉は、日本国内では、気分や気持ちを表す印象があり、テンションがあがる、テンションが下がるという使われ方をしますが、英語の「tension」は、緊張を表し、プレッシャーを感じている様を連想させるなど、あまりポジティブな印象がある言葉ではありません。
これは英語に限らず、さまざまな言語で起こり得る問題です。
場合によっては、侮蔑表現や猥雑な表現となってしまう可能性もありますので、特に海外展開を視野にいれている場合などは、インターネットなどを使って確認しておくと良いでしょう。
会社名(商号)の決め方┃会社名を考える際の15のアイディア・発想方法
先ほど、会社名を考えるに際にAIを活用するケースで、いくつかの軸をご紹介させていただきましたが、他にも考え方の軸にできうるものがありますので、以下にご紹介します。
会社名(商号)を考える際のアイディア15選
・会社の理念から発想する
・サービスに関連づける
・クライアント層が好みそうな言葉から連想する
・会社やサービスで実現したい未来から連想する
・イメージカラーを設定し、そこから連想する
・古代語から連想する
・神話から連想する
・文学作品から連想する
・曲名などから連想する
・趣味などから連想する
・スポーツから連想する
・自然現象から連想する
・物語や戯曲などから連想する
・日本語をカタカナにして考える
・自分の好きな言葉や熟語・慣用句から考える
上記のものを単体で活用してもいいですし、いくつかを組み合わせて考えてみてもよいでしょう。
会社名(商号)の決め方┃占いが好きな方は、画数や占いなどを活用するケースも
経営者の中には、運気にこだわる人もいます。
そのようなケースでは、会社名(商号)をつける際に、風水や画数など占いを活用するという方法もあるでしょう。
例えば
「会社名 占い」
とインターネットで検索すると、画数などから、その会社名の表す傾向などを診断するサイトなども、たくさん出てきます。
上記のようにインターネットを活用したり、占いなどを仕事にされている方を探してみてもいいでしょう。
会社名(商号)を決める際は、他社の商標を侵害していないかを確認する。
会社名(商号)は、商標として登録することができます。
商標登録をすることにより、自社の会社名や商品名、サービス名などを、利用者や消費者などに排他的に利用することができます。
逆にいえば、他社が商標登録している会社名を使ってしまった場合、他社の商標権を侵害したことになりますので、その会社名やサービス名などを利用できなくなってしまいます。
会社名は、ウェブサイト、パンフレット、商品などいたるところで利用するものです。
従って、商標権に基づき差止請求をされてしまった場合などには、ウェブサイトやパンフレット、商品などを作り直す必要などがでてきてしまいます。
また、併せて、損害賠償請求をされてしまう可能性もありますので、会社名を決める前に、他社の商標を侵害していないかを確認しておく必要があります。
他社の商標を調べるには、特許庁のウェブサイトで調べるという方法があります。
こちらの特許庁のウェブサイトを参考に調べると良いでしょう。
会社名(商号)を決めた後は、自社の会社名を商標登録することも検討する。
先ほど、ご紹介したとおり、会社名は、他社に使われてしまう可能性のあるものです。広告などを行い、自社の会社名などを折角覚えてもらえたとしても、他社に使われてしまい、他社が自社の知名度を利用して売上をあげてしまう可能性なども考えられます。
また、商標は先願主義が採用されており、先に、特許庁に対し先に商標登録の出願手続を行った者が優先的に保護されます。
従って、自社が先に使っていた会社名があったとしても、商標を登録していない場合、他社が後から商標登録を行われてしまった場合、後から商標登録をした会社が商標権を取得することとなり、後から商標登録をした会社から、商標権を侵害していると言われてしまう可能性もあるのです。
そこで、検討しておきたいのは、自社の会社名を事前に商標登録しておくという方法です。
先に商標登録をしておけば、上記のようなリスクはなくなります。
商標登録をする場合は、自分で行うか弁理士に相談・依頼するという方法があります。
いずれの場合も手順としては、まず、似たような商標がないかなど事前に調査し、次に特許庁に出願します。
その後、特許庁で審査を受け、審査に合格すると、登録査定がきますので、その後に登録料を納付するという流れになります。
商標登録は、自分でもできる手続きですが、どのような区分で商標登録をすべきかなど、専門的な知識も必要となることから、弁理士に依頼しておいた方が無難であると言えるでしょう。
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まとめ┃会社名(商号)の決め方について、ルールと、具体的な会社名のアイデア発想法
いかがでしたでしょうか?会社名(商号)の決め方について、ルールと、具体的な会社名のアイディア発想法、さらに、商標権についても解説させていただきました。
会社名は、会社の顔となり、組織を表現する最たるもののひとつです。企業のブランドイメージを確立するためにも、ぜひ、良い会社名を考えてみてください。
ただし、そこには最低限守らねばならないルールもありますし、自社のブランディングを守るためには、商標権を活用するという方法も検討すると良いでしょう。
この記事の監修者
あしたば国際特許事務所 弁理士 石川真一
質の高いサービスの提供をモットーとし、発明者との打ち合わせによる発明発掘手法などにより、知財をサポートしている。 社会人になってから、東京電機大学工学部第二部機械工学科を卒業しており、機械工学についての専門知識を有する。また、三菱化学生命科学研究所出身のため、バイオ案件の取り扱い実績も多数。
機械/化学/バイオ/生活用品の特許、実用新案、意匠、商標に注力。 2003年から知財を守る業務につき、2007年に弁理士登録。(2023年現在)約20年ほどの業務実績があり、多くの大企業、中小企業や個人のサポート実績や、知財セミナーなどの実績多数。 知財に関する知識不足から発生する多くの失敗事例を見てきたため、知財の重要性を広める活動にも従事。
この記事の執筆者
unite株式会社/株式会社Brand Communication/株式会社Ageless 代表取締役 角田 行紀
起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。
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