【記入例・見本付き┃税理士監修】開業届の書き方とは?フリーランスは開業届を出すべき?

2023年07月25日

thum2023-07-21

※こちらの記事は長谷工コミュニティが運営するビステーションのプロモーションを含みます。

開業届(正式名称:「個人事業の開業・廃業等届出書」)とは、税務署に提出する書類のことです。個人事業主やフリーランスが、事業を始める際に納税地を所轄する税務署長宛に提出します。
なんとなく、出した方がいいとは認識しているものの、本当に提出した方がいいのか?提出しなかったときはリスクはないのか?といった観点や、具体的な書き方までを本記事では、解説いたします。

そもそも開業届とは?

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開業届は、正式名称を「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」といい、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときに行う手続きのことをいい、納税地を所轄する税務署長宛に提出します。

フリーランスなど、新たに事業所得が見込まれる方はもちろん、不動産所得又は山林所得が生じる方は、この手続きをすることになります。

フリーランスが開業届を提出する必要性は?メリットは?罰則はある?

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開業届は、先ほどご紹介したとおり、事業所得、不動産所得又は山林所得が生じる場合に提出が必要な書類です。
ただし、提出しない場合でも罰則はないため、事実上、開業届を提出していないという方も少なくありません。

しかし、フリーランスとして活動する場合、開業届を提出することで以下のようなメリットも生まれるため、提出した方が良いと言えます。

フリーランスが開業届を提出する5つのメリット

➀屋号の名義で銀行口座を開設できる
②屋号で、銀行口座を作ることで、事業のお金と、プライベートのお金を区別しやすくなる
③屋号で、銀行口座を作っておくことで、顧客からの安心感・信頼感が高まる
➃個人事業主としての証明になる(店舗などの賃貸契約時や銀行からの融資契約の際)
⑤小規模企業共済(積み立てによる退職金制度/全額所得控除でき節税にも)に加入できる

さらに、青色申告で確定申告をすれば(複式簿記による記帳などの要件を満たす必要有り)

・青色申告で最大65万円の控除が受けられる
・青色申告により、家族などに支払う給与を経費計上できる
・青色申告により、赤字を3年間繰り越せる
・青色申告することで、減価償却の特例として、30万円の備品などを一括で経費計上できる

といったメリットもあります。

また、補助金や助成金の申請をする場合には、開業届が必要になるケースが多いので、開業届を提出しないことはリスクにもなり得ます。

従って、フリーランスの場合はもちろん、事業所得が発生する場合は開業届を出した方がいいと言えるでしょう。(フリマアプリ等で一時的に少額な売上があがるようなケースは届出不要です。)

開業届の書き方は、職業によって違う?副業、イラストレーター、せどり、不動産、美容師の場合

基本的には、書き方は、変わりません。開業届の「事業の概要」部分など、該当部分を変更すればいいだけです。(後述の「開業届の具体的な書き方⑪事業の概要」をご参照ください。)

開業届の書式は、どこで入手できる?費用はかかる?

開業届は国税庁のウェブサイトから入手できます。また提出に費用はかかりません。(郵送で提出する場合は郵送代がかかる程度)

参考:国税庁のウェブサイト

開業届の具体的な記入例・見本

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開業届の具体的な記載例の上記です。それぞれに記載が必要な箇所に番号をふってありますので、ひとつづつ確認していきましょう。

開業届の具体的な書き方➀提出先の税務署長/提出日

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提出先は所轄税務署です。自宅で開業する場合は自宅を所轄する税務署としておけばいいでしょう。またオフィスを構える場合であっても、個人事業主の場合、納税地は原則、住民票所在地になります。
従って、自宅住所を管轄する税務署長宛と記載してください。一方で、もし事務所・店舗があり、そこを納税地にしたほうが都合がよい場合は事業所にすることも可能です。迷う場合には、管轄の税務署に相談すると良いでしょう。
管轄する税務署がわからない場合は、こちらの国税庁のウェブサイトから確認することができます。

提出日は、開業日ではなく、実際に提出する日を記載しましょう。(なお、開業届は開業から1か月以内に提出が原則です。)

参考:国税庁のウェブサイト

開業届の具体的な書き方②納税地の住所・電話番号

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自宅で開業する場合は、住所地に✓を入れてください。オフィスを借りている場合や店舗がある場合は、事業所地に✓を入れればOKです。
なお、居所地はあまり多くは使われません。たとえば、海外在住のフリーランスなどの場合は、日本滞在のために使う場所の住所を記載しておき、居所地に✓を入れておけばいいでしょう。

開業届の具体的な書き方③上記以外の住所地・事業所等

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自宅で開業をするようなケースでは、この項目は空欄でOKです。事業所を別で構えている場合は、事業所の住所を書きましょう。

開業届の具体的な書き方➃氏名・生年月日

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氏名・生年月日を記入します。なお、戸籍上の正しい表記にしておくと良いでしょう。

開業届の具体的な書き方⑤マイナンバー

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12桁のマイナンバーを記載します。(マイナンバーカードの発行をしていなくても、マイナンバーは全員が持っています。)マイナンバーがわからない場合は区役所や市役所などへ行って「マイナンバー入りの住民票の写し」を請求すれば、そこに記載されるので確認することができます。

開業届の具体的な書き方⑥職業/屋号

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職業は自由に名乗ってOKです。どうしても参考になる情報が欲しい場合は、総務省ウェブサイト産業分類から、最も近いと思う職業を選んで記載すると良いでしょう。

屋号欄には、事務所名や店舗名を記入します。
基本的には自由に決められますが、相手を混乱させるような名前(例、株式会社ではないのに、○○株式会社という屋号をつける)はNGです。
屋号は必ずつけなければならないものではないので、屋号なしでもOKですが、屋号をつけておくと、上述のとおり、銀行口座が屋号名で作れるなどメリットがあるため、つけておくと良いでしょう。

屋号の変更などは、次回の確定申告において、新たな屋号を記載した確定申告書を提出すればOKです。なお、個人事業主であっても法務局へ行けば、「商号登記」をすることができます。

参考:総務省ウェブサイト産業分類

開業届の具体的な書き方⑦ 届出の区分

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フリーランスの方が新たに開業届を提出する場合は、以下のようにしておけばOKです。
届出の区分 → 「開業」
また、開業のチェック部分以下は、事業の引継ぎを受けた場合にのみ記載しますので、基本的には空欄でOKです。

開業届の具体的な書き方⑧所得の種類

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フリーランスの方が新たに開業届を提出する場合は、以下のようにしておけばOKです。
所得の種類 → 「事業(農業)所得」
※農業も事業所得に分類されます。

開業届の具体的な書き方⑨開業日

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開業日 → 開業した日(基本的には開業届は開業から1か月以内に提出ですが過ぎても罰則はありません)を記載しておけばOKです。

開業届の具体的な書き方⑩開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

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開業時に、青色申告をするための書類を提出する場合は、上段のチェックボックスは有りを選択しておくとよいでしょう。青色申告を選択すると、上述のように多くのメリットがあります。

下段は消費税課税事業者を選択するかの確認です。前々年の年間売上が1000万円以下の場合、免税事業者になることができ、消費税分、得をできるのですが、2023年10月以降はインボイス制度がはじまり、免税事業者のままであった場合、取引先から嫌がられてしまい結果的に仕事を失うリスクがあります。
特例措置などもありますが、課税事業者になるかどうかは、自社がどのような事業を行うか?どのような企業や個人と取引をするか?によっても左右されるため、税理士の先生に相談しておくと良いでしょう。

開業届の具体的な書き方⑪事業の概要

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個人事業主としての事業の概要を、簡潔に書けばOKです。
(できるだけ具体的に記載)とありますが、シンプルな記載で大丈夫なようです。

【例】
・システムの開発
・WEBサイトのデザイン
・DTPデザイン
・人事制度のコンサルティング

開業届の具体的な書き方⑫給与等の支払いなど/その他の参考事項

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1人で開業し、従業員がいない場合、ここは空欄でOKです。
従業員がいる場合、青色事業専従者であれば「専従者」欄に、それ以外の従業員がいる場合は「使用人」欄に人数を記入しましょう。
参考:青色事業専従者給与と事業専従者控除┃国税庁ウェブサイト

開業届の具体的な書き方⑬関与税理士

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税理士の先生に依頼している場合にだけ使う項目です。

開業届の提出先と提出方法は?

開業届は、上述のとおり管轄の税務署へ提出します。
また、提出方法は

・持参
・郵送
・e‐TAX

の3パターンがあります。どの方法でも提出しやすい方法でOKです。
なお、持参する場合は、事前に税務署に電話で持っていくものを確認してから行くとよいでしょう。
基本的には、

・個人事業の開業・廃業等届出書
・マイナンバーが確認できる書類及び本人確認書類
・開業届の控え(事前に自分でコピーをとっておくとスムーズです。)

があれば、OKです。

また、郵送で送る場合は、上記に加え、返信用封筒と切手が必要となります。(大切な書類ですので、レターパックや簡易書留などにしておくと安心です。)

フリーランスの開業届の書き方まとめ

いかがでしたでしょうか?開業届を出すこと自体は、あまり難しくありませんので、この記事でご理解いただけたのではないかと思います。
それよりもインボイス制度の開始によって課税事業者になるべきなのか否かといったことなどの方が難しいかもしれませんね。
このあたりは、個別に事情が異なり解決方法も違うので、税理士の先生に相談することをおススメします。相談料だけなら30分で5000円~1万円程度で済みますし、補助金や助成金にも詳しい先生もいらっしゃいますので、個人的には、サクッと相談してしまった方がいいのではないかと思います。

この記事の監修者

若尾房市税理士事務所 代表 若尾房市

中小企業の成長促進剤@MBA税理士
税理士、MBA(経営学修士)、GCS認定コーチ

手探り経営に悩む中小企業社長に対して、 管理会計(未来を創造する戦略的会計)とコーチング(欲しい未来を手に入れる思考のサポート)を活用して、ときには視界を照らすヘッドライトとして、ときには視界をクリアにするワイパーとして、社長がその想い実現に向かって最高速度で突っ走るお手伝いをしています。

モットーは「お金が増えなければ節税ではない」
https://www.financial-office.jp/

この記事の執筆者

unite株式会社代表取締役 角田 行紀

起業支援、事業支援や、最適な士業の無償紹介、士業が講師を務める企業研修事業(主に法務・労務・税務・財務)、経営者や士業などが講師を務めるセミナー事業などを行うunite株式会社代表取締役。
多くの起業家からの相談や、士業による起業希望者へのアドバイス、自身の起業経験などを基に本稿を執筆。

https://www.unitenco.com/